【短編】貴方だけを愛しています
~♪~♪



「……もしもし、葉山です」



『葉山さんですか?ナツキの母です』



「なっちゃんママ?どうしたんですか?」



ヘッドボードとたっちゃんに凭れ、ウトウトしてるとスマホが鳴った。

画面には病棟とあり、不思議に思いながらなっちゃんのママ。



『茅さんにお願いをしまして……』



「そうなんですね。なっちゃんは――…」



『ナツキが、死にました……』



「……なっちゃんが……?」



『夕方まで、葉山さんに会いたいねって話してたんですが……。発作が治まらず……挿管もして下さったんですが……っ……』



「……そんなっ……。そんな……っ゛!!」



「唯来?」



『葉山さん、今まで、本当にありがとうございました……っ』



「何で……っ……。なっちゃん……っ!!」



「唯来!」



「離してっ!なっちゃんに、最後のお別れ行かせて……っ!!」



通話の切れたスマホを放り、行かなければと、ベッドから飛び降りる。

しかし、たっちゃんに腕を掴まれて、廊下に出たところで阻止されてしまう。



「的渕のせいで……っ。纐纈のせいで……っ゛!」



「どうした!?」



「「唯来(ちゃん)!??」」



的渕家と纐纈家が居なければ、傍に居られた。

会いに行けない事なんてなかった。
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