【短編】貴方だけを愛しています
「的渕も纐纈も私の前から消してっ!!なっちゃんに会わせて……っ゛!!」



1年目で、まだ未熟で頼りない私を好きと言ってくれたなっちゃん。

そんな子を、最期に何も出来ずに逝かせてしまった。

自分が許せない。

そして、働けなくした的渕家と纐纈家が憎い。



「連れてってやれ、達也」



「そうね……会わせてあげて」



たっちゃんから事情が説明されると、お父さんとお母さんから、病院へ行く事に許可が出された。

頷いたたっちゃんにコートを掛けられ、支えられながら車へと乗り込む。

暗い山を下り、病院へ。

小児科病棟の入り口に着くと、背を押されて1人、中を進む。



「葉山さん?」



なっちゃんの病室に行くと、茅先輩がエンゼルケアを行って居た。

頭を下げてベッドへと近付く。



「葉山さん……」



「なっちゃん。葉山さんが来てくれたよ……」



カーテン越しに居たなっちゃんのご両親。

頭を下げると、なっちゃんママがなっちゃんに声を掛ける。



「なっちゃん、ごめんね……。葉山さん、助けてあげられなかった……っ。傍に居られなくてごめんね……っ……」



ご両親とは反対側に周り、しゃがみ込んで手を握りながら謝る。
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