ホワイトクリスマス
琴葉は嘘をつく時、俯いてしまうクセがある。幼なじみだからそれくらいのクセはわかる。でも、琴葉を追いかけて行って「一緒にイルミネーション見に行こう!」なんて誘えるわけがない。

進展することのないこの恋と、退屈な日常、それをクリスマスが壊してくれたらいいのに……。

そんなことを思いながら、俺は冬の晴れた空を見上げた。



それから、琴葉とあまり話すことがなく冬休みに入り、あっという間にクリスマスイブを迎えた。サンタさんはどんなプレゼントをくれるのかな、なんて小さい頃は琴葉と話していたっけ。

十二時を時計の針が指せば、大人にとっても、子どもにとっても特別な一日が始まる。恋人はデートを楽しんで、家族はみんなでチキンやケーキを囲んで、キリスト教徒じゃないのに毎年はしゃぎすぎだと今では思ってしまう。

去年はまだ家族とクリスマスを祝ったけど、今年は違う。両親はせっかくのクリスマスなのだからと夫婦仲良く旅行に出かけ、妹は友達の家に泊まりに行った。そう、所謂クリぼっちというやつだ。
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