ホワイトクリスマス
もったいならから、と母さんがリビングに飾ったクリスマスツリーが虚しい。テレビをつければ、楽しそうなアナウンサーがクリスマスのデートスポットとやらを巡っている。その中に、琴葉が見ていたイルミネーションもあった。

「今年は、新しく「運命の扉」というものができました！それがこちらです！」

カメラが向けられた先には、イルミネーションで飾られたおしゃれな扉がある。今は昼だから当然明かりはない。でも、夜になればきっと綺麗なんだろう。

「この扉を開けた先に誰かがいれば、それがあなたの運命の人です！」

アナウンサーが熱く語る。なるほど、女子はこういうの好きだよな。運命とか、よくわからんけど。

「ハアッ……」

ため息をついてテレビを消す。まだお昼だ。特別な日はまだまだ時間がたっぷりあって、みんな思い出を作っている。

「琴葉、今頃映画見てんのかな……」

そう呟き、目を閉じた。



ダラダラと漫画を読んだらしているうちに、あっという間に夜になった。大人にとってはクリスマスは夜が本番なんだろう。いつの間にか雪が降っていて、さらにロマンチックな雰囲気になっていく。
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