稲荷寺のパラレル少女
一口飲んで、また一口。


不思議の飲むたびに心が元気になっていくような気がした。


「お気に召したようでよかったです」


キツネは嬉しそうに微笑んで、良介の杯におかわりを注いだ。


良介は栄養ドリンクを片手にお稲荷さんを口に入れた。


昨日からずっとお稲荷さんを食べているけれど、不思議と飽きてこない。


「キツネたちは毎日こんなことをしてるの?」


「そうです。私たちにとっては毎日がお祭りです」


「いいなぁ。俺もそういう生活をしてみたいよ」


思わずため息が出てしまった。


毎日学校へ行って、勉強をして、帰って宿題をして。


それはそれで大変だと感じている。


「私は良介さんたち人間が羨ましいです」


「どうして? 人間は大変だよ?」


「はい。だけど、忘れられる存在ではありません」


その言葉に良介の頭の中は一瞬真っ白になった。
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