トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


「慈恩はさくらのケガの責任を感じているだけだから。
ここの従業員になら、誰にでもそうすると思うよ。
っていうか、そうしなきゃ問題だけどね」

「そうだね…」

「さくら…
慈恩が思わせぶりな事を言ってきても、それは本心じゃないから。
慈恩って、単純じゃないっていうか素直じゃないっていうか、伯父さんともぶつかってばっかりで、どう付き合っていいのか従弟の僕でもよく分からないんだ。
だから、慈恩に惑わされないでほしい。
さくらの居場所は僕のここだから。
それを忘れないでね」

唱馬はそう言って、自分の胸をトントンと叩いた。
私はそんな昨夜の唱馬の言葉を思い出し、途方に暮れた。
そんなの分かってる。
分かってるけど、頭と心がケンカしているみたいで、どういう風に二人に接していいのか分からなくなる。
自分の部屋のドアを開けた途端、涙が溢れ出た。
私に見せる専務の顔は、ただただ優しい人の顔…
心に傷を抱えた少年のようにも見える。
完全な一目ぼれを経験した。
胸キュンの総攻撃を味わった。
好きで好きでたまらないという切ない感情を初めて知った。
それもこれも、専務への想い。
私はこれからどうしたらいいのだろう…


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