小さな願いのセレナーデ

碧維と離れて寝るのは、今日が初めてだ。
まぁ夜中に一度も起きない子だから、案外平気なんだろうなーと思うが、何だか少し寂しくもなる。


私はゲスト用の寝巻きを着ながら、ゲストルームのベッドに横たわる。昔はユキさんがよく泊まっていた場所で、今でもたまに大輔さんや瑛実ちゃんの友達が泊まりに来るらしい。

シングルベットが二つ並んだ広いベッドは、いつも碧維と身を寄せあって寝ている私には、すごく広く感じた。


「ねえ、先生、一緒に寝ない?」
「いいですよ」

お風呂に入ったのだろう。
髪の毛か少し濡れたままの瑛実ちゃんが、部屋に入ってきた。かわいいピンクのモコモコしたウェアは、さすがに女子高生らしい。
彼女は私の寝ている隣のベットに、ごろんと寝そべった。

「ねえやっぱり碧維は、お兄ちゃんとの子なの?」
もう隠しても仕方ないだろう。
むしろ昂志さんは、隠す気はないみたいだ。

「そうよ。昔付き合ってて、後になって妊娠がわかったの」
「三年ぐらい前?」
「そう」

瑛実ちゃんは驚かず、むしろ「やっぱり」と頷いた。
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