小さな願いのセレナーデ
その後数組のレッスンを終えると、もう時間は夕方の五時。
一旦ここで今日の仕事は終了。
「ただいま」
「お父さんー!」
ユキさんと夕食を作っていると、昂志さんが帰ってくる。碧維は久しぶりに会う昂志さんに喜んで飛び付いた。海外を回っていて、帰宅は二週間ぶり。
「おかえりなさい」
「ただいま……お、大分大きくなったよな」
「そろそろラストスパートに入ったみたいね」
昂志さんは愛おしそうにお腹を撫でる。
「またベビードレス買うのを堪えたよ」と苦笑いしながら。
昂志さんは今度こそは…と妊娠発覚直後から張り切ってベビー用品を買うのに奔走し、私やユキさん、しまいにはウィーンにいる瑛実ちゃんからも「いい加減にしなさい」と怒られている。
さすがにベビードレスは五着も要らないだろう。
そもそも碧維のお下がりもまだ残っているが……彼は複雑な思いがあるようだ。
「これはこれでいいけど」とは言っている。
だけど「俺の知らない二人が居るから…」と、碧維が使っていたベビー服を眺めて、寂しそうに呟いていた。
だから今度こそは、彼の好きなものを選んであげたい。彼が選んだものを使ってあげたいと思っているのだ。
一旦ここで今日の仕事は終了。
「ただいま」
「お父さんー!」
ユキさんと夕食を作っていると、昂志さんが帰ってくる。碧維は久しぶりに会う昂志さんに喜んで飛び付いた。海外を回っていて、帰宅は二週間ぶり。
「おかえりなさい」
「ただいま……お、大分大きくなったよな」
「そろそろラストスパートに入ったみたいね」
昂志さんは愛おしそうにお腹を撫でる。
「またベビードレス買うのを堪えたよ」と苦笑いしながら。
昂志さんは今度こそは…と妊娠発覚直後から張り切ってベビー用品を買うのに奔走し、私やユキさん、しまいにはウィーンにいる瑛実ちゃんからも「いい加減にしなさい」と怒られている。
さすがにベビードレスは五着も要らないだろう。
そもそも碧維のお下がりもまだ残っているが……彼は複雑な思いがあるようだ。
「これはこれでいいけど」とは言っている。
だけど「俺の知らない二人が居るから…」と、碧維が使っていたベビー服を眺めて、寂しそうに呟いていた。
だから今度こそは、彼の好きなものを選んであげたい。彼が選んだものを使ってあげたいと思っているのだ。