小さな願いのセレナーデ
乗り込んだエレベータは高層階で停まり、部屋の前まで来ると──ロックを解除した瞬間、雪崩れ込むように部屋に押し込まれる。
そのまま身体を壁に押し当てられると、濃厚な口づけが待っていた。
熱い唇が触れ合うと、中を割り入るように舌がねじ込まれる。ぬめっとした舌は、口内をくまなくまさぐり、私の舌を絡めとる。
唇が離れると、呼吸を止めていたので息が上がる。はぁはぁと荒い呼吸の私に、彼は顎をクイッと摘まんで持ち上げる。
「ちゃんと鼻で息をして?」
彼のまっすぐ見つめる瞳は、淡い色が綺麗で吸い込まれそうだった。
彼はまた目を閉じると、さっきと同じように濃厚な口付けを降らせる。
じっくり舌を絡め取られて、じゅっと吸い上げられる。それは蕩けそうなほど気持ちが良くて、ふらつく足は彼のリードで徐々に部屋の中へ進む。
呼吸を忘れて彼にしがみつき、唇が少し離れるだけで激しい吐息が漏れた。
「彼氏に教えて貰わなかったの?」
「今は居ないし…今までこんな激しいのはしたことがない…」
そう言うと、背中に手を回して抱き寄せて、耳元でこう囁いた。
「いっぱい教えてあげる」
低く色っぽい声は、心も身体も欲情を疼かせる。