No rain,No rainbow
私の頬に触れる指先は、ぬくくて、決して私に痛みを負わせたりしない。

そのことに、心から安心する。

その目にずっと、ずっとずっと、私を映してほしくてただ、見つめ続けた。

「…詩さん。その下からオレを見つめるアングルは、反則、です」

また、キス、したくなりますよ?

優しい囁き声が降ってきて、律さんを見つめながら思わず、目を閉じた。

「…ん…」

私を好きでいてくれるという、温度と熱量を持ったキスが落ちてきて、思わず身を引きそうになった刹那、

「…逃してなんか、あげませんよ?」

左手は私の腰を、右手は私の頬を、引き寄せて何度も何度もキスをする。

…もっと、…もっと、してください…

思っていた感情は…、

「…心の声、駄々漏れてますよ?そうしてあなたは、我慢できなくなるようなことをぬけぬけと…」



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