No rain,No rainbow
豚汁を作るために沸かしていたお鍋が沸きそうになって、慌てて一緒に立ち上がる。

危なかったですねー、言い合いながら笑い合う。

「作り過ぎちゃうかも知れません」

刻んだ野菜をお鍋に入れながら、律さんに話し掛ける。

「じゃあ、明日も明後日も一緒に食べましょ」

キッチンの淡い光の中で、微笑む律さん。

こうして、明日も明後日も。

続きがある時間は愛おしい。

そうしてこの優しい時間は、始まったばかりなのだ。

どっちみち大事にされない。

私なんて。

ふくれて下唇を噛んで耐えていた時間はもう、決してやってこない。

律さんと一緒に居られれば。

断言できる、優しい時間。








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