No rain,No rainbow
「…詩さん」

後ろから響いてくる、優しい声に耳を傾ける。

「…はい」

眠いような、怠いような、シアワセなような、穏やかなような。 

そんな緩やかな空気が流れている、律さんと私だけの空間。

目を閉じて、律さんの言葉の続きを待った。

律さんの右手はまた、私の左手の指輪を撫でている。

「…詩さん…」

もう一度、呼ばれて顔をあげて横を向いたら、鼻先が触れる距離の律さんに見つめられる。

私も見つめたらもう、離せなくなる目線。

穏やかな色をした、律さんの目。


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