No rain,No rainbow
うつむいた私に、穏やかに注がれる視線に、とっくに気がついている。

「顔あげて?」

再度囁かれる。

意気地がない私は、うつむいたままで。

ふっ。

律さんが微笑む気配がして、うつむいたままの私に、キスをくれた。

そのまま、自分のおでこを私のおでこにくっつけて、その反動で私を上向かせた律さん。

「やっと、顔が見れた…」

とめどなく、溢れる涙。

「…なにか不安、ですか?」

優しい瞳が私を見つめてくれた。


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