No rain,No rainbow
「…急に…、不安に…なっ…て、もし、律さんに…嫌われたら、って」

「詩さん」

やっと紡いだ、私の言葉に、瞬時に強く返ってきた、律さんが私を呼んでくれる声。

それはもう、一瞬、時間が止まるくらいの強さで。

その強さに、弾かれるように顔を上げた。

「…ん…っ!!」

思わず漏れた声は、くちびるが痛いくらいの、熱を持った律さんのキスのせいで。

その強さは、私の心配なんて杞憂なんだと、思わせてくれた。

「分かった?」

1度、くちびるを、離した律さんの問い。

深く、頷いたら、満足そうに笑う律さんと目があった。


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