No rain,No rainbow
「…この女性、実在しますね」

「…絶対、しますね」

作者カードには、『藤城 新』の名前。

「この絵が大賞ですね」

「当たり前なくらい、胸に来ますね」

「来ますねぇ。オレもいつか、こんな写真が撮りたいです」


「いやいやいやいやいや!!律さんはとっくに撮れてます!!」

ぴんとした空気が流れている、館内。

響く、私の大声…

「…ちょ!さすがにあなた、うるさいって…」

律さんに、手で口を塞がれた。

美術館の素敵な絵の前で、ふたりしてしゃがみこんでいる。

なんだか、こんな時間も、シアワセ。


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