No rain,No rainbow
「…とても、お似合い、ですね」

丁寧に、1言ずつ区切られた言葉を放つ、男のひと。

まなざしが少し、緩んだ気がする。

「そう見えます?嬉しいなぁ」

応えた律さんは、本当に嬉しそうで、隣で盗み見た横顔は、とてもキレイだ。

「もしかしてこの絵の作者さんですか?」

「…えっ?!」

律さんが、そんな風に話し掛けるから、びっくりして出た、私の大声。

「…しーっ…!だっから、あなたは声が大きいから」

苦笑しながら、私の口を手のひらで塞いだ律さんは、

すみませんねぇ。男のひとに謝っている。

私も、口を塞がれたまま、頭を下げた。


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