No rain,No rainbow
「全然、俺は気にしないんで、大丈夫です」

可笑しそうに、少し笑った作者の藤城さん。

「彼女とは、結婚を?」

律さんが、絵に視線を移して聞いている。

「…あー、実はちょっと、すれ違ったまま、離れてしまって…」

その目線は、足元に落ちている。

「…そうだったんですか、この絵はその後に?」

「はい。離れてからすぐに、描きあげました」

柔らかに微笑む、藤城さん。

「大切なんですねぇ、彼女が」

「はい。とても」

律さんと藤城さんの視線が、柔らかく交差している。




< 195 / 551 >

この作品をシェア

pagetop