No rain,No rainbow
「とても大切で、ずっと一緒にいたいと思っているのに、俺はあの手を、離してしまったのかも、知れません」

あんなに細くて、頼りなげなのに。

彼女を見つめる、藤城さん。

「いつも、素直になれなくて。まるで、小学生男子、みたいになってしまって」

「…あー、わかります。わかります」

頷きながら、苦笑が重なっている、律さんと藤城さん。

「でも、離したくないと思えた相手位には、素直になっていいんじゃ、ないですか?」

いや、素直になるべき、です。

断言した律さんは、

「ね?」

隣の私に視線を移してくれる。




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