No rain,No rainbow
「…そうですね」

ぽつりとつぶやいた、藤城さん。

「なんか、べらべらとすみません。あまりにおふたりが、シアワセそうで。どうしたら、そんな雰囲気が出せるんだろう、と」

照れくさそうに、そんな風に喋る、藤城さん。

「…でも…」

しばらく、黙っていた私の発言に、

「「…ん?」」

なんて、今度は律さんと藤城さんの言葉が揃って、思わず笑ってしまう。

「こんなに穏やかで、無防備な表情は、好きなひとの前でしか、出来ないと思います」

きっと、彼女も藤城さんのことが今でも、好きです。

安心しきってないと、こんな心もとないひらひらのワンピースなんか着れないし、あ、ほら、髪の毛が、なびいてるってことは、ちょっと風があるんですよね?でも、このあとに暖めてくれる相手がちゃんといるって、ことです。


< 197 / 551 >

この作品をシェア

pagetop