No rain,No rainbow
蛍光灯に照らされている、林檎。

相変わらず、つやつやに光っている。

ローテーブルに肘をついて、林檎を眺める。

誰かの手に触れたのって、いつぶりだろう?

しかも、暖かな優しい手に。

手には、そのひとの性格が出るのかなぁ。

だっていつもあのひとの手は、私に絶望を与えたから。

反論することは、とっくのとうに諦めて。

ただただ、頭の上で時間が過ぎ去るのを待っていた。

あの部屋に置いてきたはずの記憶は、いとも簡単に思い出される。

その事にまた、絶望する。


< 24 / 551 >

この作品をシェア

pagetop