No rain,No rainbow
「すみません、お金を」

差し出そうとした右手は、やんわり押し戻された。

「いえ。この間のお詫び、です。勝手に撮っちゃったので」

少し、バツが悪そうに笑った。

「…あぁ、もちろん消しましたよ?消しましたから!!」


畳み掛けるように言って、

「…じゃあ」

小さなお辞儀をして、歩き出した背中に、

「あの…ありがとうございました」

呼び掛けたら、


ちいさく手を上げて、行ってしまった。



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