No rain,No rainbow
片手には、新刊の小説と、借りてきたDVD。

空いてる片手は、律さんの左手が繋がれている。

同じように、律さんの片手にはスーパーで買った食材が入っている、エコバッグ。

空いてる片手には、当たり前に私の右手が繋がれていて。

「あなたと映画、初めて観るから嬉しいですねぇ」

笑顔の律さんが言う。

「あ、でもどうせだったら、映画館で大きなスクリーンで観たかったんじゃないですか?」

聞いた私。

「あなたがさっき言ってくれたでしょう?」

あなたといっしょに、暗い部屋でDVDを観る。

あなたといっしょに、映画館で大きなスクリーンで映画を観る。

どっちもあなたとしたことないから、どっちもしたいんですよ。あなたと。

好きなひととの"はじめて"は、いくつあっても嬉しいでしょう?

ね?

微笑んだその両目は、夕陽が映り込んで、あたたかなオレンジ色をしている。




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