No rain,No rainbow
「…オレは、✕、なんです…」
律さんの広い背中は、肌色を探すのが難しいくらい、傷だらけで。
肌色が煤けた、切り傷や引っ掻き傷、まるで偶然割ったガラスの先端を肌に当てて引いたような、痛々しい傷。
何よりも、際立っているのはその傷の真ん中に、点を繋ぎ合わせて大きく描かれた…
「オレは、✕なんです」
繰り返し、紡がれる律さんの声色はうめくような色をしている。
その背中には、盛り上がった、いびつに汚れたピンク色の丸い点々で、まるで✕を描いたように、みえる。
背中の右上から左下に線を描いている点々。
同じように、背中の左上から右下に向かってつづく点々。
でも、右上から引かれている点々と違って、左上から右下に引かれている点々は、途中で終わっている。
まるで…
「…描き損ないの、✕、みたいでしょう?」
静かな律さんの声が響いた。
・
律さんの広い背中は、肌色を探すのが難しいくらい、傷だらけで。
肌色が煤けた、切り傷や引っ掻き傷、まるで偶然割ったガラスの先端を肌に当てて引いたような、痛々しい傷。
何よりも、際立っているのはその傷の真ん中に、点を繋ぎ合わせて大きく描かれた…
「オレは、✕なんです」
繰り返し、紡がれる律さんの声色はうめくような色をしている。
その背中には、盛り上がった、いびつに汚れたピンク色の丸い点々で、まるで✕を描いたように、みえる。
背中の右上から左下に線を描いている点々。
同じように、背中の左上から右下に向かってつづく点々。
でも、右上から引かれている点々と違って、左上から右下に引かれている点々は、途中で終わっている。
まるで…
「…描き損ないの、✕、みたいでしょう?」
静かな律さんの声が響いた。
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