No rain,No rainbow
包丁を買ったあと、すぐには家に帰りませんでした。

いや、帰れなかったんです。

こわかったんです。

父親が確実に、家にいると分かっていたから。

家に帰れば、この包丁を使わなければならない。

でもそうしないと、オレは救われないし自由になれない。

今なら、他の選択肢をいくつも考えられるけど、あの時のオレには、父親を殺すと言う選択肢しかなくて。

家の近くのベンチに座ったまま、動き出すことが出来ませんでした。


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