No rain,No rainbow
「…まったく、あなたは…"なんか"なんて、言わない約束、でしょう…?」

あなたがいないと、オレはもう、生きていかれないんです…

今なら、親父の気持ちもわかる気がします。

ほんとうに大事で大切なひとに出逢えたのに、そのひとが突然、目の前から消えてしまったら…

考えただけでも、こわくて叫び出しそうになります。

もしも、あなたが消えてしまったら…

親父と同じ立場に立たされたら、オレも誰かに同じことをしてしまうかもしれない…

それも、とてもこわくて…

ちいさくつぶやいた、律さんの声は、不安に揺れている。

「律さんは、律さんです。お父さんじゃないです。律さんは、とても優しいひとです。律さんは、律さんです」

思いを込めた私の言葉に、

「…ありがとう、ございます…」

耳元の囁き声で、返した律さん。


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