No rain,No rainbow
床に脱いだままの形を保って、落ちていた、シャツを拾いあげた律さんは、胸ポケットからハガキサイズの紙をとり出した。

少し、眺めて微笑んだあと、そのまま私に手渡してくれる。

受け取った、その紙には、仲良さそうに肩を寄せ合うカップルが写っていて、男のひとはどこかで見たような…

「…え、えっ?えっ?!」

叫んで、そのハガキを、急いでひっくり返した。

「律さんっ!藤城さん、彼女に会えたんですね?!しかも…」

「そうですねぇ、先、越されちゃいましたねぇ」

なんて、含み笑いの律さん。

…えっ、と…、それはどう理解をすれば…なんて、考える隙を与えてなんてくれない、律さんは、

「ほんとうに良かった、ですね」

私の手元に収まるハガキを、私といっしょに覗き込んだ。

白いワンピース姿でふわりとシアワセそうに微笑む女のひとと、その隣で黒いシャツにジーンズ姿の藤城さんが手をつないでいる。

そこには、"結婚しました"の文字が踊っている。




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