No rain,No rainbow
「知っているひとが、結婚するなんて嬉しい、ですねぇ」

穏やかな律さんの声が、隣から聞こえてくる。

「そうですねぇ。あ、そっか、昨日別れてからすぐに来てくれたのは、このハガキをみせようとしてくれたからなんですね」

なるほど、そういうことかー

勝手に納得していたら、

「違いますよ?あなたに今すぐ会いたくなったのが、いちばんで、藤城さんが結婚したニュースが2番、あなたと、この嬉しさを分かち合いたかったのが、3番」

いち、に、さん、と指を折りながら説明する、律さん。

「…そ、そうなんです、ね…?」

「そうなんです、よ?」

またも余裕な笑顔の、オトナが、ひとり。


< 328 / 551 >

この作品をシェア

pagetop