No rain,No rainbow
その声は、私を想ってくれているとても優しい色をしていて、思わず感情が溢れた。

「…手を洗ったら、橘さんが作ってくれた指輪がキラキラ光ってて。律さんの指輪もキラキラ光ってて。綺麗すぎて思わず声が出たら、律さんがとても優しい声で心配してくれて…」

こんなシアワセが、あったんだ、って。

「…それは、嬉しい涙、でしょう?」

言われて、泣いていることに初めて気がついた。

ただただ、うなづくことしかできなくて。

そんな私を正面からただ、抱きしめてくれた律さん。

好きすぎて不安になったり。

シアワセすぎて泣いたり。

普通はマイナスな不安や泣くことが、プラスの意味も持っていることを知れたのは、律さんが隣にいてくれたから。

そうして、どんな涙も受け止めてくれる、律さん。

「律さんがいてくれて、ほんとうに良かった」

精いっぱいの思いを込めた言葉。

「…ありがとう」

たったひとことのその返事が、嬉しい。



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