No rain,No rainbow
「さぁ、お腹空いたからごはんを食べよう」

律さんの合図のような宣言ではじまった、ふたりだけのお祝い会。

ビールのプルタブを開けて、乾杯をする。

「律さん、お誕生日おめでとうございます。旦那さまになってくれてありがとうございます。これから、よろしくお願いします」

あらたまって正座をした私に、

「ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします」

律さんも正座をして返してくれて、見つめ合って同時に照れ笑い。

「うん。やっぱりあなたと食べるすき焼きはウマい。ね?」

微笑んでくれる律さんの姿が嬉しくて、胸がいっぱいになる。

「あ、ちゃんと食べてる?ほら、もうちょっとよそってあげるから、器貸して」

胸が詰まって、ビールばかり飲んでいる私に、律さんが手を伸ばす。

お皿を渡すために伸ばした手に触れる、律さんのぬくい手。









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