No rain,No rainbow
ふたりして、息が整うのを待つ。

汗ばんだ律さんのおでこに落ちる前髪を、優しくてのひらで払った。

「昼間っから、こんなにあなたにおぼれるなんて」
 
狭いソファーでくっつきあいながら、くすりと妖艶に笑う律さん。

「いつでも、溺れてください」

余裕のフリで、返す私。

「お?大きく出たねぇ?」

もっと余裕な、律さんが恨めしい。

「律さん、やっぱりオトナ、ですね?」

「オトナじゃなきゃ、あなたを護れないから、ね?」

微笑み合う、明るい部屋。

この空間は、優しさに満ちている。








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