後味も甘く彩る
……まあ、平気で年上をからかってくるし、敬語とタメ語入り交じった話し方だし、いまだに掴めないところもあるけど。


でも、優しいことだけははっきりとわかる。


だから、私はその才原くんの優しさを無下にはしたくない――――と、思っているのだけれど。



「せんぱい、飲まないんですか?ぬるくなるよ?」

「え?あー、うん。飲むよ、飲む飲む!」

「……もしかして、せんぱいミルクティーにがてですか?」


ブスッと紙パックにストローを刺して、チューとミルクティーをひとくち飲んだ才原くんのそのひとことに、ギクリと一瞬身体が固まってしまった。



「あ、その反応からしてやっぱり。にがてならむりしなくていいですよ」

「いや、違うの、別に飲めないわけじゃなくて、」

「俺もカボチャきらいだけど、食べれないわけじゃないです。食べれないわけじゃないけど、自分からはぜったい食べない。それと同じでしょ?いいよ、なんか買い直してくる」



そう言って立ち上がろうとした才原くんの制服の袖を、とっさに掴んで引き止めた。


年上のくせにいつももらってばかりで、ただでさえ申し訳ないなって思ってるのに、苦手だからって理由だけで買い直してきてもらうなんて、私のポリシーに反する。
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