後味も甘く彩る
「せんぱい?」
「大丈夫。もしかしたらこのミルクティーは飲めるかもしれない」
「えぇ……」
なにを根拠に、といったような目で見つめられているのを肌で感じながらも、紙パックにストローを刺しながら覚悟を決める。
思えば、ミルクティーを飲んだのなんて遠い過去のこと。小学生のときに一度だけ飲んで苦手だって思ったけれど、でも私ももう高校生になったんだし飲めるかもしれない。コーヒーだって、カフェオレしか飲めなかったのに、つい最近微糖も飲めるようになったんだから。
「よし、いただきます!」
意気込みはばっちり。ぎゅ、と目を閉じて勢いよくミルクティーを吸い込む。すると口内に冷たくて甘いミルクティーが広がる。口に含んだと同時、じんわりと口内に広がる紅茶の香りと牛乳のまろやかな甘さはそこまで苦手じゃない。
ただ、その後に舌先に纏わりつく妙な後味は、やっぱり苦手だった。
「……せんぱい、すっごいしかめっつら」
私の顔を見て才原くんが呆れ気味に笑う。