愛しの君がもうすぐここにやってくる。

うーん、ジャケットのボタン、取れそうだな。
ちゃんと確認して着てくればよかった。

朝、急いでいたから、ジャケットの袖口のボタンが取れそうになっていること気付かなかった。
帰るまで取れなければいいけど。
それかもう引っ張って外しておくかな。
触ると余計に取れてしまいそう・・・、わかってるけど気になるし。
ついつい気になってジャケットの袖口を触ってしまう。

「藤原さん、Aランチにしたの?
それにしても席に着くの早いね」
そう言いながら親子丼をトレイに乗せてきた中西さんが私の向かい側に座る。

「うん、とりあえず朝、出社したら最初に社食に行って今日のランチメニューをチェックするってのが日課になってるから。
そのときに昼は何にするか決めてんねん」

「それって簡単に言うと食い意地はってるってこと?」
そうニヤニヤと言いながら今度はBランチをトレイに乗せた佐野さんが私の横に座る。
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