ウソツキハート



彼の左手薬指に光るリングは、気にならなかったと言えばウソに、なる。



でも、絶妙なタイミングでくれるハグやキスに、『それでもいい』と、みて見ぬ振りをしていた。



実際、奥さんとうまくいっていないし、子どももいない。



だから一緒になろう。いつか。



その『いつか。』は、いつになっても構わなかった。



彼さえ居てくれたら、他には何もいらなかったから。



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