ウソツキハート



「子供が、出来たんだ。」



ぽつりと呟かれた彼の声に、言葉を失った。



「僕は、キミより子供が大事なんだ。」



そんな言葉を残して、あたしに背中を向けた。



その背中は、エレベーターの中から眺めていた背中と一緒なのに。



この2年の間、何度も抱きついた背中なのに。



暖かで優しくて、広くて、頼もしい。



いつだってあたしが抱きつくことが許されていた背中は、



どうして?今はあたしを拒絶するの…。



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