ウソツキハート
『ごめんなさい。』
でも、別れてください。
ごめんなさい、ごめんなさい…。
いっそのこと、罵ってくれたら。
感情のままに、怒鳴り散らしてくれたら。
どんなに救われただろう?
でも彼女はただ、『ごめんなさい。』泣きながら、繰り返した。
謝らなきゃいけないのは、あたしの方なのに…。
彼の優しさや弱さを、あたしは感じ続けられるほど近くに居られた。
彼女はきっとずっと寂しかっただろう。
独りでそれに耐えていたんだろう。
なのに今、あたしにこうして懇願しているのだ。
『彼を返してください。』と…。
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