ウソツキハート
「あんず。もう、いい。話さなくて、いい。」
黙ってあたしの話を聞いていたあらたが発した声は、どうしてこうも胸の奥まで届くのだろう…。
いたわるような、慈しむような。
「良くないよ、良くない…!さっき公園で会った、シアワセそうな家族連れ。あれがね?彼なの。」
穏やかで優しい。
あたしは彼の総てを知ったつもりでいた。
本当にそれはただの『つもり』で。
あたしは何にも彼のことをわかっていなかったんだ。
だって…。
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