ウソツキハート



「良かった。宜しければ、貰ってくれません?一枚しかないし、今日までだけど…」



少し、眉をひそめて、申し訳なさそうな表情をする彼女は可愛らしくて。



たぶん、彼もこういう彼女が好きなんだろうなぁ。思ったりして。



彼女がオムツやらほ乳瓶が入っている、大きなマザーズバッグから取り出したのは、どうやらチケットで。



「この近くで、開催されている絵画展のチケットなのよ。」



あたしにチケットを手渡しながら言う、彼女の口調が砕けてきていることに気がついて、なんだか戸惑う気持ちと嬉しい気持ちが半々で、不思議な感じ。



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