ウソツキハート
「ありがとうございます!!」
必死に、その背中に叫べば。
くるりと一度、振り返った彼女は、赤ちゃんの手を持って、あたしに『バイバイ』をしてくれた。
…あぁ…駄目だ、泣くな。
自分に言い聞かせるも、零れそうになる涙。
それを隠すように、彼女と赤ちゃんに向かって大きく礼をした。
涙がすっかり乾いたタイミングで顔を上げれば、当然のことながら、彼女の姿はなくて。
そこにはただ、柔らかな風が吹いていた。
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