ウソツキハート



あたしの手のひらにチケットを握らせた彼女は、そのまま強く、あたしの手を握った。



「もちろん、シアワセよ。とても。だからあなたも気にせずに、シアワセになってね。」



握られた手のひらは、温かくて優しい。



…あ、そうか、握手か。



彼女の手が離れて、ようやく気がついた。



…あれ…?今、なんて…?



視線を自分の手のひらから彼女に移したときにはすでに、赤ちゃんを抱いて、歩き出した彼女の後ろ姿が見えていて。



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