ウソツキハート



 「あんず、俺を、見ろ。」


 懐かしい、あらたのクセ。


 もう、わかっている。


 一言ずつ、言葉を区切るのは、あたしに言葉を届かせるため。


 そのクセや仕草や感情は、あたしを掴んで離さない。


 離れたくたって、離れられない。離れらたくない。


 そんな風に思うことは、哀しいことではないはずなのに、いつまでも明確にはならない、あらたとあたしの関係が、
ただただあたしを苦しめる。


 出来ることならば、あらたの一番になりたいのに。


 あたしにそれを望む資格は、なくて。


 許してもらえたとしても、ずっとずっと忘れてはいけない。


 それがきっと、キズつけるつもりで他人をキズつけた、あたしへの、罰。


< 318 / 373 >

この作品をシェア

pagetop