ウソツキハート


 「あんず。」


 もう一度、囁かれたあたしの名前。


 その声色は、この部屋を満たすオレンジ色ように暖かく優しい。


 すがるように、腕の中からあらたを見上げれば。


 「余計なことは、何も考えんな。」



 ってか、考えさせてなんて、やんねーけど?


 イジワルに微笑んだくちびるから、飛び出したそんなセリフに、体中の熱が沸騰する。


 思わず、シャツ越しのあらたの腕を掴めば。


 「いつだって、そうやって捕まえとけよ?俺のこと。」


 あたしを見下ろす、あらた。


 その目に吸い込まれそうになる。


 考えたことは、ひとつだけ。


 あたしのものになれば、いいのに…。






 
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