ウソツキハート



 「…あんず、あんず。」


 繰り返される、あたしの名前。


 そんな風に呼ばれたら、錯覚してしまう。


 あたしはあらたの。


 あらたはあたしの、モノだって。


 いや、いいんだ。

 
 あたしは、あらたの、モノ。


 このカラダも、想いも、気持ちも、総て。


 あの日、出逢った時からずっと、あたしはあらたの、モノ。


 それで、いい。


 例え、長くは続かなくても。


 すがって、もたれて、追い掛けて。


 あらたがもし、望んでくれるなら。


 だって、あたしはいつだって、あらたの、モノだから。


 「…ねぇ、あらた。もっと…して…?」


 「言われなくても?」



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