ウソツキハート


 細くしなやかなあらたの指先は、絶えずあたしに触れている。

 頬や耳たぶ。


 弄ぶように触れたかと思えば、急にひどく、優しくなる。


 まるであたしの反応を楽しむみたいに、動くてのひら。


 でも、あたしはもう、その優しい温度を知っている。


 そのことが、何よりうれしくて。


 ずっとずっと、触れていて欲しい。あらたには。


 音にして、コトバにして、かたちにしたいけれど。


 あたしはいつだって、壊れてしまうことが、何より怖い。


 だから、こうして久しぶりにあらたに会えたって、肝心なことはひとつも確認出来ないんだ。



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