ウソツキハート


 「ん……、あんず。」


無意識に出た単語は、あたしの名前で。


それが、あらたのくちびるから呟かれた事実がとても、うれしい。


あたしを抱きしめた腕も、無意識で。


あたしはあらたの胸の上で、シアワセを噛みしめる。


顔を上げれば、閉じた瞳の先で、長いまつげが揺れている。


闇の中で、ぼんやり光る頬も鼻先もくちびるも。


“今”は、あたしのもの。



考えるよりも先に、行動に移していた。


無防備な首筋に残したのは
、あたしのシルシ。


後で怒られるかも?なんて
、ドキドキしながら、あらたの腕の中で眠りにつく、優しいひととき。


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