ウソツキハート


 あらたの声、体温、優しさ。


それがすぐ、隣にあることへの、素直なあたしの感情。


「あんず。俺さー、すっげー最低な男だったんだよ。何もかもが中途ハンパで。自分以外の誰かの感情なんて考えてもいなかった。」


ぽつりぽつりと話し出したあらたは、真っ直ぐにあたしを見つめてくれている。


「俺、絵描きの端くれで。でも絵だけじゃ到底食っていけなくて。女に依存するヒモみたいな生活をずっとしてて。」


死ぬほど格好ワリーよな。つぶやいた口元は、自嘲気味に歪んでいる。

 
.
< 338 / 373 >

この作品をシェア

pagetop