政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
エッチな本は楓君に内緒で夜に読もう。
と、ちょうど楓君が帰宅した。私は慌ててそれらを自分の部屋に運んだ。
何事もなかったかのようにリビングに行くと同時に「ただいま」と声がした。
「おかえり!あ…ごめんなさい。まだ夕飯の準備が…」
「あぁ、いいよ。今日は初出勤でしょ?どうだった?」
「うん…すごく疲れたかな」
「無理しないでいいから。今日は夕飯外で食べるか出前取ろう」
「いいの?」
「いいよ。無理はしないでほしい」
何度も無理はしないでという彼は本気で私を心配しているようだ。
「ていうか、何かあった?いつもと違うけど」
「え、何が?別に何もないよ!疲れただけ」
「仕事で嫌なことあったとか?」
「ううん!嫌な人もいないし仕事は大変だけど頑張れそう!」
「そっか」
他人には興味のない楓君は、どういうわけか私の些細な変化には気づくようだ。しかし、今私の心臓がバクバクと煩いのは危機一髪で隠すことが出来た舞衣子からのプレゼントのせいだ。彼には内緒で“準備”を頑張ろう。
楓君が自分の部屋で着替えている最中、ちょうど手の中にあったスマートフォンが振動した。舞衣子かと思ったら松堂君だった。
メッセージが届いていた。
“久しぶり。今度時間あれば日中ご飯でもどうかな?話したいことがあるんだ”
「話したいこと…?」
松堂君が私に話したいこと、など思考を巡らせても用件がわからない。今言ってくれたらいいのに、と思いつつ何て返したらいいのか迷っているとちょうど楓君が戻ってきた。
「日和?」
「あ、ううん。出前取ろう」
彼への返事はあとでしようと思い楓君に笑顔を向けた。