政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「でもそれって根底にはちゃんと大切にしたい気持ちがあるから出来ることじゃない?本当に秘書の自宅に行ったのかどうか聞いてみたらいいよ。怖いかもしれないけど」
「…舞衣子、」
「誕生日一緒に過ごすんでしょ?せっかくだから告白しちゃえばいいじゃない」
告白?!と一人しかいない部屋で声を上げる。
「だって日和は好きなんでしょ?」
「でも楓君は清川さんのことが好きだと思うの。振られるのは目に見えてるっていうか」
「いいじゃん?そんなことで別れたりしないでしょ。それに結婚してるのは秘書じゃなくて日和の方なんだし、浮気相手よりも妻の方が圧倒的に立場は上だよ。もっと自信もって。日和は十分魅力的だし、旦那もそれわかってると思うけどね」
舞衣子との通話が終了しても彼女の声がずっと耳に残っている。
―告白
そんなこと考えたこともなかった。だけど、このままでいいのかな。
確かにそのせいで気まずくなったとしてもそれが原因で離婚ということはないだろうし、そもそも私は彼にしっかりと清川さんのことを聞いたことがなかった。
楓君は私と一緒に誕生日を過ごしてくれると約束してくれた。
気持ちを伝えるとすれば、その日しかないのかもしれない。