政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「本当に?うそじゃないよね」
「嘘で言うわけない。今日は誕生日プレゼントと一緒に今言ったことを伝える予定だった。日和は幼馴染のことが好きだってずっと思ってたから伝えていいのか迷ってはいたけど我慢できなくて今日は言うって決めていた」
「松堂君のこと?松堂君には告白されたけど断ったのは楓君のことが好きだからだよ」
「そうなの?なんだ、俺ずっと勘違いしてた」

 楓君が安堵の息を漏らす。溢れる涙を抑えきれない私はハンカチで何度も涙を拭った。

 ずっと欲しかった言葉がようやく聞けた。
楓君は鞄の中から長方形の赤い箱を取り出した。それを私に手渡す。
先ほど言っていた誕生日プレゼントだろう。
丁寧に包装されたそれをその場で開ける。

「わぁ…」
「欲しいものがないって言われたから悩んだんだけど…気に入ってもらえると嬉しい」
「こんな素敵なものもらっていいの?嬉しい」

 泣いているのに嬉しさで顔が綻ぶ。目の前にはシンプルなダイヤが輝くネックレスだった。あまりにも綺麗に輝くそれに更に涙が溢れた。私のために選んでくれたと思うとそれが一番うれしい。
今すぐにでもつけてみたい欲をぐっと抑えた。
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