政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】

「じゃあ…そうだな。教えてあげるよ」
「教える?何を?」
「クリスマスをカップルと過ごすときは大抵サンタの格好をします」
「…へぇ!!そうなんだ!聞いたことないけど…確かにクリスマスだもんね」

日和は純粋で人を疑うということを知らない。無垢な花嫁だ。

異性との付き合いもなかった箱入り娘で性の知識は皆無。

「明日は日和がサンタだね」
「…そうだね!」
「もうサンタになれる服は用意してるから明日着てみてほしい。それで完璧だよ」

一言でいえば”コスプレ”なのだが、そう言ってしまったら日和からは拒否されそうだから敢えて違う表現をした。
純粋で何も知らない彼女にコスプレをしてもらうのは”簡単”だ。

「楽しそう!サンタさんかぁ、でも…楓君は?」
「俺はいいよ」
「そうなの?」
「そうそう」

たまにこんなに純粋で人を信じやすい彼女を心配になる時がある。
俺の目の届かないところで誰かに騙されたりしないだろうか、と。

「サンタさんの恰好楽しみ!」

目の前のクリスマスツリーよりも輝く瞳は心底嬉しそうだった。
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